かけ流し温泉旅

かけ流しの温泉をめぐる温泉宿体験記。大半は一人旅ときどきツレと一緒

瀬美温泉(岩手県・瀬美温泉)残念ながら期待していた「大人の湯宿」の雰囲気ではありませんでした

数年前に知人が夏油温泉郷に行ってきたという感想について

夏油温泉元湯もよかったけど、瀬美がよかった

と語っていたことが耳に残っており、

以来、気になっていた宿でした。

 

HPを閲覧すると、湯治感の強い元湯に比べると、設えもモダンかつ洗練されて

大人の女性がしっとり湯につかり、静かな一夜を過ごし

よりしっとりした美人になって帰路をたどる

そんな風情が画像から感じられる宿でした。

 

(毎度のことながら)美人になるという愚かな期待はせず

ただただ品格漂う和の風情の宿で湯に包まれて静かな一夜を過ごしたい

そんな期待を胸に、北上駅から送迎バスで30分。

同乗したのは女性グループ4人組の女性。

想定60代。そうだろうな。やっぱし熟女の好むお宿なんだろうな。

 

ところが。

宿に着くや駐車場は車であふれ

フロントに到着するとえらくガヤガヤ大混雑。

今日は満室状態なのかしらん?

 

と思ったら、そうではなくて大半の人々は日帰り客。

館内3カ所ある湯船をめぐって移動する親子軍団

休憩コーナーで大きな声で駄弁りまくる男性ら

脱衣所でフルチンで走り回るガキめら

注意を施すでもなく親同士で駄弁り続けるママさん軍団。

おそらく地元らしき人々

入浴料800円。そりゃお手頃ですしね。

 

この時点でいっきに想像は崩れましたね…大人の宿の雰囲気。

ここは宿泊併用の日帰り入浴施設なんですか?

f:id:ykumanya:20201016111314j:plain

館内図。わりとこぢんまりした宿なんですね。

お風呂自体は悪くはないんです。

3種の源泉をみたす湯船は男女別に各5つ。

中でも一番大きい内湯とその奥にある露天のせせらぎの湯(女性)は

とろっとしたアルカリ性のお湯。

f:id:ykumanya:20201016110058j:plain

とろっとした湯をたたえる内湯・長寿の湯。結局混雑を避けて入れたのは翌朝夜明け前。

それだけに人気があるためか、湯船は日帰り客に占領され、

子どもらのプールと化しています。

 

あとにしよう…

(結局、おのお湯に入ったのは翌朝の早朝でした)

 

その前に使った美人の湯はさらっとして、比較的新しい源泉だそうで

しつらえも楚々としているせいか、人は少なめ。

まずはこちらで髪と身体を洗おうと、蛇口をひねると極端に水圧が低い

これでは髪にシャンプーが残りそうなので洗髪はパス。

f:id:ykumanya:20201016110237j:plain

さらっとした無色透明の湯をたたえる美人の湯。こちらは割と空いてました。

ひとまず予約していた貸切風呂(宿泊客は45分一回無料)へ

鍵を受け取って鍵をかける。確かに貸切。

しかし貸切ならではの上質感も情緒もなければ

前の人が入った残り香なのか、煙草と体臭が混じったような

もわーとした匂いが湯気とともに漂って、こりゃもう興ざめ。

f:id:ykumanya:20201016105259j:plain

貸切風呂。かなりがっかり…

唯一、シャワーの出だけは、さきほどの美人の湯より圧倒的に良かったので

洗髪を済ませて早々に出ました。

 

客室は本館と別館に分かれていますが

一人旅ゆえ、ぜいたくな部屋は望まず、本館に。

別に全然悪くはない。清潔だし。浴衣にもぴっちりのりがかかって着心地よし。

f:id:ykumanya:20201016105419j:plain

本館。一人で過ごすにはちょうどよい広さ

f:id:ykumanya:20201016105449j:plain

浴衣の柄は本館用だそうです。

しかしこの浴衣も館内を観察していると

どうも2種類あるようで、フロントの人にきいたら本館と別館で

分けているとのこと。

館内を迷っているお客さんに案内しやすいからというのが理由というけど

うーん、そんな広い館内か?

低価格な本館に泊まっている客側としては

区別されているという気がすらしてくるね。ヒガミ根性強すぎ?

少なくとも我が家愛用の宿Nは

湯治用質素な和室~リッチな和洋室まで5カテゴリーある客室すべての

お客さんの浴衣はすべて同じ柄でした。

ま、宿の方針はそれぞれあるからね。

 

良い面に目を向ければ、確かに日帰り客が帰ったあとは

静けさが訪れ、雰囲気のよい音楽が流れるなど

落ち着いた雰囲気が漂い始める。

f:id:ykumanya:20201016105525j:plain

フロントからお風呂へ通じる廊下。館内はスリッパ不要

日帰り客にも大人気だった大浴場&露天。

確かにしつらえも湯の質もよく、露天には虫よけの網もかかって

虫さされも気にせず、渓谷と少し色づき始めた木々の風情についつい長湯

f:id:ykumanya:20201016105727j:plain

女性の露天。せせらぎの湯。渓谷の音と景観がよきかな。

f:id:ykumanya:20201016110336j:plain

湯温の違う湯船が並ぶ夢の湯。温めのお湯がよかった。

朝食は色合いも盛り付けも雅だけど

残念なのが給仕のおばさん。

忙しいのはわかるけど、味噌汁とごはんを運んできて

無造作にドンドンとテーブルに置き去る始末。

味噌汁が右でご飯は左なんて作法はおろか

両者がななめっている始末

もてなしの心ここにあらず。

これじゃあ、せっかくの雅な朝飯が、たいまち田舎飯の風情。興ざめ…

f:id:ykumanya:20201016105850j:plain

宿自体の設えもけっして悪くはないんです。

好印象に感じられる箇所も多々あるのに

日帰り客の軍勢やら、給仕の立ち振る舞いが

それらを台無しにしている。

おまけに、ひとりで食後のコーヒーを飲んでいたら

わざわざといわんばかりに膳一式を下げに来る。

おいおい、既に客が食べ終えて席をたった後に膳が残っているテーブルがあるだろ

それとも、はよコーヒー飲んではよ去れ、っていいたいわけ!?

こればかりは我慢できず、本人に苦情いったね。

 そしたら「ああ、すいませんすいません」と気のない感じでこちらの目をみず

ただただ頭を下げる作業を繰り返すだけ。

ま、こういう人に何いっても無駄。

朝からやだなあ…こういうの。

 

と気分おちこみつつ、帰り支度。

 

期待が大きかったせいかな~だいたい期待大きいところに

期待どおりのことはおこらない

というのがおよそ自分の体験から得てきた真実なので

今回もやっぱりそうか、という経験値が一つ増えてしまった。

 

けど予約サイトなどの利用者の評価は高いんですから

しかも私の知人もべた褒めだったわけですから

今回のことは偶然性によるところも多分にあったかもしれません。

しかし本人にとってはその偶然の体験こそが印象づけるすべてであるわけで

再訪はない、という気持ちを動かすことはできないでしょう。

湯があまりによいというならば別ですが

お湯のためにわざわざ来る必要は感じません(失礼)

 

とはいえ往復の送迎は本当にありがたかった。

温泉についてフロントの人に質問したとき

面倒な顔せず丁寧な説明してくれたことも嬉しかった。

また各湯船の成分表が新しい年月日の検査日であることを明記して

わかりやすく掲示されているのは誠意が感じられた。

f:id:ykumanya:20201016110855j:plain

さらさらな湯・美人湯

f:id:ykumanya:20201016110926j:plain

ぬるぬるとろっとした長寿の湯。瀬美温泉に古くから湧く源泉だそう

一度は来てみてよかったとは思ってます。

ブログの場をかりての歯に衣着せぬものいい、お許し下さりませ_(_^_)_